会社の投資余力をどう計算するか?某社長の場合 | キャッシュフロー改善の専門チーム。株式会社産業育成研究所

会社の投資余力をどう計算するか?某社長の場合

2016.11.16 キャッシュフロー改善

昨日、新進気鋭の若手成長企業の社長と面談する機会がありました。

その際、「会社の投資余力をどう計算されているか?」質問しました。社長は、「現預金残高から借入残高を引いた分」と即答されました。頭の回転がとても速い方で、経営課題もズラッと明確化し、片っ端から片付ける社長です。

社長のお考えで大枠よいのですが、現預金残高は日々変わります。支払日には大きく減少し、入金日には大きく増大します。借入残高も毎月変わります。

「いつ」の「現預金残高から借入残高を引くのか?」で、結果は大きく変わります。支払日直後に見たら、現預金残高が借入残高を下回っているのがおそらく普通の状態ではないでしょうか?むしろ、その状態が通常で、現預金残高で借入残高を賄えるというのは、借入がごくわずかか、手元資金が常に極端に潤沢なケースに限られると考えられます。

一般的な社長の、この質問の答えは、「困惑」「当期利益」「当期利益+減価償却費」ちょっと経営書をかじってしまい毒されている社長は「フリーキャッシュフロー」と言われますが、この社長のように実務を的確に分析できる高い能力をお持ちの方でなければ、このような答えは出ません。しかし、それでも既に述べたように、実際に使えるのかと自問すると、難しいという結論になります。

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私の答えは「営業キャッシュフロー-長期借入返済」です。そこでプラスになってきた金額は全額事業投資に回して、万が一回収できなくても、会社の屋台骨は安定したまま安泰です。それを超えて投資をする時に借入や、直接資金調達が必要となるわけですが、それはリスクそのものです。万が一回収できなければ、過剰債務となってその後の経営をとてつもない重荷を背負わせることになります。

そう言う意味でもセオリーとして月次のキャッシュフローモニターと、そのキャッシュフローの最大化を図ることは、企業の今後を大きく左右するポイントになります。

(株式会社産業育成研究所 キャッシュフロー改善の専門チーム)