借入資金とその調達コストについて
2017.07.15 キャッシュフロー改善 経営改善 資金調達と返済
企業を盛り立て成長させるために資金は不可欠です。資金の使い途は、
1) 納税
2) 役員従業員の昇給、賞与
3) 設備の維持管理、修繕
4) もしもの時のリスクマネジメント
5) 未来の事業への投資
6) 株主への配当
資金には、「自己資金」と「借入資金」があります。他には「増資資金」があります。「自己資金」で全て賄えれば問題ありません。企業が弱体化し退場へ向かうのは「自己資金」がマイナスとなり(出血)、それが嵩んでいくときです。
だから資金の使い途として全て自己資金で賄えるのがベストです。だから自己資金管理とその最大化は経営課題の重要なモノのひとつとなるのです。しかし、そうは行かない場合が多いのも事実です。
次に考えるべきは「増資資金」です。何故なら、決まって定期的な返済をしなくてもよい資金となるからです。その後の自己資金の稼ぎ効率に大きな影響を与えます。
その代わり、増資引受先を探すことは未上場企業にとってどうも敷居の高いモノのようです。(私について申し上げれば、2社について第三者割当増資をして数千万円を調達しているので、そう難しいとは思っていないのですが)
一般企業に取って距離的に近いのは、銀行からの「借入資金」を得ることです。つまり銀行から融資を受けることです。普通の長期資金として運転資金や設備資金で融資を受けますと、約定返済といって、毎月金利と元本を定められた金額、銀行に返済しなければなりません。そこにはコストがかかります。それは通常は「金利」と言われています。金利が安ければ調達コストが低いと解釈されますが、今回は融資の返済と借入コストについて知っていただきたいことがあります。
元本返済は、多くの企業では支払項目で金額が大きいもの順に並べると、トップ3に入ってきます。それほどに影響力の大きな項目なのです。しかし元本返済は、他の項目と違って、費用計上できません。勿論借りたお金の元本を返済するのですから費用ではないわけです。
しかし、税金の観点で考えますと、費用でないというと言うことは「損金で落ちない」という事を意味し、つまり「益金として課税対象になる」ということを意味します。
大きな支払シェアがあり、自己資金の減少につながる借入金の元本返済が、結果的に益金として取り扱われているのです。気付いておられましたか?
借入金の元本返済を益金として、それにかかる税金は、資金調達コストの中に入れて考えておられましたか?
それを勘案しますと、銀行借入はとても高いコストを支払って調達する資金となりませんか?そのコストを取り返して余りある対象に、その資金を使わなければ、どんどん企業の体力が目に見えないところで削り取られていくと思われませんでしょうか?
ですから、リターンのない資金に、借入資金を引き当てて支払ってはいけないのです。納税資金や賞与、設備の維持管理、修繕、株主への配当などです。
できれば新しい稼ぎを生み出す、未来の事業への投資を行っていくべきだと考えます。そうしなければ割が合わないとお感じになりませんか?
よく考えてみれば気付くことですが、あまり誰も教えてくれませんし本にも書いていません。しかし経営と経営判断にとって大事なことだと私は思います。
皆さんはどうお考えになるでしょうか?
(キャッシュフロー改善の専門チーム 株式会社産業育成研究所)