有名経営者のひとくちエピソード(4)
2024.12.27 ビジネス哲学
ケンタッキーフライドチキンの「カーネル・サンダース」のエピソード
ウエンディーズの創始者デイブ・トマスはカーネル・ハーランド・サンダースについて、嫌な点があったと述べている「何か上手くいかない事があると、ひどい言葉で延々と悪態をつくので、周囲の人間はいたたまれなくなった。」と。カーネル本人もそのことを嫌悪し祈り続けたが終生やむことはなかったという。
本田技研の「本田宗一郎」のエピソード
後に社長となる杉浦英男がホンダを辞めようと決意した時の事件を語っている。
「本田さんにはしょっちゅう殴られた。部下20~30人の前で殴られた事もある。私が事務所で仕事をしていると、1人の部下がおろおろした調子で駆け込んできて、社長がお呼びですと伝えた。私は事務所を飛び出し、何か問題がありましたかと本田さんに尋ねた。彼は一言も発せずいきなり私を殴りつけた。
怒りの原因はボルトにあることが判明した。はみ出し部分の長さが最大でも2ミリのはずが5ミリに達していたのだ。本田さんは大声で怒鳴っていた。『こんなとんでもない設計をした責任者は誰だ。お前じゃないか!』

お詫びの言葉を言い出す暇さえ与えず、二発目が飛んできた。正直言って腹わたが煮え繰り返る思いだった。1000人の部下を抱える研究所の責任者としてのプライドもあった。確かに本田さんの言っている事は正しい。だからといって皆の前で殴ることはないだろう。こんな仕打ちには堪えられない。会社を辞めてやると思いながら立った。だが顔を上げて本田さんをにらみつけた瞬間早くも決意が揺らぐのを感じた。
本田さんの目には涙が溢れていた。それを見ると一言も言えなくなった。そして、社長は真剣なんだとつくづく感じた。車の設計がいかに重要か、各ステップで如何に厳密に仕上げていくべきかを訴えたかったのだ。細かい部分ではあったが、その細かい部分をきちんと仕上げなければ信頼性の高い製品など作れるはずがない。社長はそれを言いたかったのだ。そのことを全ての技術者に教えるために私を殴ったのだ。この日私はこの上なく貴重な教訓を得る事が出来た。」
杉浦氏によると本田さんは腹を立てると相手にモノを投げつける事もあったという。「かっとなると周りにあるものを手当たり次第につかみ、それがなんだろうと構わず相手めがけて投げつけた。本当に危険だった。事務所の机には一面へこみや傷がついていた。本田さんが投げたレンチやハンマーの跡だ。」こうした激しい叱責にもかかわらず、本田氏は多くの社員から崇拝され尊敬されていた。
そのわけは杉浦氏の弁による本田氏の真剣さだ。多くのホンダ社員は杉浦氏と同じように学んだ。
ソニーの創始者井深大氏は言う。「本田は仕事の事になると鬼になった。目標を定め、部下を叱り付け、言い訳でもしようものなら殴る事もあった。だが部下達は皆彼がいかに真剣か、どれほど本気で仕事に向かっているかをよく理解していた。」
本田氏がこういう行動を取りながら慕われたのは彼の怒りが単なる気まぐれや傲慢さや卑劣さから出たものでなく、社員と会社の繁栄を願えばこそと周囲が理解できたからだろう。
参考文献
・ Thomas,Dave’s Way
・ Ohsuki,Good Mileage